近視抑制について

近年、スマートフォンやタブレットの使用増加などにより、小児期から近視が進行しやすい環境が広がっています。 近視は単に見えにくくなるだけでなく、進行すると将来的に目の疾患につながる可能性があるとされています。 当院では、お子様の現在の見え方だけでなく、将来の視機能も見据えた診療を行い、近視の進行に配慮した治療をご提案しています。
当院の近視抑制治療
近視抑制には複数の方法があり、それぞれ適応や特徴が異なります。
当院では、特定の方法に限定せず、お子様の年齢や生活環境、目の状態に応じて治療方法をご案内しています。
「どの治療が合っているかわからない」という場合でも、診察のうえご相談いただけます。
主な治療方法
オルソケラトロジー
就寝時に専用のハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を一時的に変化させることで、日中の見え方を補助する方法です。
朝にレンズを外したあとも、一定時間は裸眼で過ごしやすくなるのが特徴です。
お子様の場合、日中にコンタクトレンズを使用せずに生活できる点に加え、近視の進行に配慮した方法のひとつとして選択されることがあります。
当院ではMenicon社製とSEED社製の2種類を取り扱っております。
- 日中は裸眼で過ごしやすくなる
- スポーツや学校生活の中でコンタクトレンズを装用する必要がない
- 家庭で親がコンタクトレンズを管理するため日中学校でトラブルとなることがない
- 近視の進行に配慮した治療法としてエビデンスが豊富
- 日中は裸眼で生活したい希望が強い場合
- ダンス競技や水泳競技など、日中のコンタクト装用が難しい場合
- お子様ご自身でコンタクトの管理が難しい場合
- 眼感染症のリスク:レンズのケアを怠ると、角膜感染症(角膜潰瘍など)を引き起こす可能性があります。
- ハロー・グレア:夜間にライトが眩しく見えたり、にじんで見えたりすることがあります。
- 視力の不安定さ:十分な視力が得られるまで数日から数週間かかる場合があり、睡眠時間や角膜の状態により視力が変動することがあります。
- 継続的な装用と適切なケアが必要となり、角膜障害や感染症のリスクがある
- 乱視の程度やアレルギーの有無によっては適さない場合がある
- 見え方が安定するまでに一定期間を要することがある
- 旅行などで装用中止した場合は中止期間によってレスキューの眼鏡度数が異なってくる
- 保護者の方による管理やサポートが必要となる場合がある
オルソケラトロジーはレンズを装用し続ける限り効果が維持される治療です。そのため、定期的な検診が不可欠となります。
- 治療期間:継続して使用する限り継続(最初の視力安定まで約1〜2週間)
- 通院回数:適応検査・処方時、装用開始後(翌日、1週間後、1か月後)、その後3か月に1回程度
公的医療保険が適用されない自由診療となります。
注記: 定期的なケア用品の費用は別途必要になります。2年目以降の更新料やレンズ紛失・破損による作り替えは別途費用が発生する場合があります。
【当院での対応】
当院では、目の状態や生活環境を踏まえたうえで、オルソケラトロジーが適しているかを確認しています。
使用方法や注意点についても事前にご説明し、ご理解いただいたうえでご案内しています。
リジュセアミニ点眼液 0.025%(低濃度アトロピン点眼)
厚生労働省に近視抑制点眼として承認された点眼薬です。就寝前に点眼するだけで、近視の進行に配慮できる治療方法です。
比較的日常生活への影響が少なく、継続しやすい点が特徴です。
- お子様のコンタクトレンズの装用が難しい場合におすすめ
- まずは身体的・生活上の負担が少ない方法から検討したい場合に最適
- 見え方そのものを改善する治療ではないため、必要に応じて眼鏡やコンタクトレンズと併用可能
- まぶしさ・ピント調整:点眼後、瞳孔が開くことによる「まぶしさ」や「近くのピントの合いにくさ」が生じることがあります。
- アレルギー症状:極稀にアレルギー性結膜炎などの症状が出る場合があります。
- 点眼回数:1日1回(就寝前)
- 定期検診:通常3か月に1回の頻度
- 推奨期間:18歳まで継続して点眼することをおすすめしております。
※点眼を途中で急に中断すると、これまで抑制できていた近視が急に進む「リバウンド現象」が起こります。中止をご希望の際は緩やかに離脱させる必要がありますので、遠慮なくご相談ください。
レッドライト療法(低出力光治療)
専用の機器を自宅に貸し出しして、一定時間光を見ることで近視の進行に配慮する方法です。
1回3分、1日2回以内、1週間で10回の使用を継続する治療です。
- コンタクトレンズの装用が難しいお子様におすすめ
- 点眼以外の方法を検討したい場合の選択肢
- 自宅で毎日決まった時間に使用・継続しやすい治療法
- 一時的な残像:照射直後に一時的な残像(光の輪など)が見えることがあります。
- 網膜への影響と検査の必須性:非常に稀ですが網膜への影響をきたした報告があります。副作用の有無評価のため、定期的な眼底検査が必須となります。
- 治療期間:18歳頃生までは継続することをおすすめしています。
- 通院回数(定期検診):適応検査・治療開始後1か月後、3か月、6か月、9か月、12か月。以降は6か月に1回程度の定期検診。
近視抑制対応コンタクトレンズ(MiSight 1day、SEED 1day pure EDOF)
特殊な設計により、見え方の補助と近視の進行への配慮を目的としたコンタクトレンズです。
日中に装用するタイプで、普段の生活の中で取り入れやすい点が特徴です。装用時間や生活スタイルに合わせて選択することが可能です。
- 日中に装用するタイプのため、普段の生活に取り入れやすい
- 生活スタイルや目的に応じたレンズの選択が可能
近視進行抑制治療用コンタクトとして海外の治験エビデンスが豊富で、世界中で近視抑制を目的として使用されています。日本でも近視進行抑制治療用として認可を受けています。
老眼用の多焦点コンタクトレンズですが、研究レベルで近視抑制の効果が報告されています。
- 感染症・トラブルリスク:通常のコンタクトレンズと同様、アレルギーの増悪や角膜炎・結膜炎などの感染症リスクがあります。
- 見え方の慣れ:見え方に慣れるまで違和感(にじみやゴースト)を感じることがあり、すでに眼鏡やコンタクトで矯正されている方は見えにくさを感じることがあります。
- 推奨期間:18歳まで継続をおすすめしています。
- 装用頻度:原則毎日(日中)
- 定期検診:3か月に1回
※診察代はコンタクトレンズ処方の保険適用となります。
※1か月分の目安費用です。
近視抑制対応眼鏡(多焦点・累進などHOYA社ミヨスマート)
見え方の補助に加え、近視の進行に配慮した設計の特殊な眼鏡です。日本国内でも取り扱いが可能となりました。
日常的に使用するものとして取り入れやすく、眼への身体的負担の少ない方法のひとつです。
- まずは普段の眼鏡で様子を見たい・試したい場合に最適
- 点眼やコンタクトレンズなど、ほかの近視抑制治療との併用も可能
- 日常生活の中で無理なく自然に取り入れられる安心感
- 慣れの期間:見え方に慣れるのに1〜2週間程度かかるといわれています。レンズ周辺部の見え方に慣れるまで、足元の浮遊感や違和感が生じることがあります。
- 定期チェックの必要性:適切なフィッティングと治療効果を見極めるため、定期的な経過観察が不可欠となります。
- 3か月に1度:眼鏡屋さんでのフィッティング調整
- 6か月に1度:眼科での点眼を伴う近視の経過観察
※当院で行う診察および眼鏡処方箋の発行は保険適用となります。
※特殊レンズ講習を修了した取扱眼鏡店でのみ作成可能です。
※別途、お好みの眼鏡フレーム代が必要となります。
※レンズ購入後6か月以内であれば一度のみ度数変更が可能です(それ以降は近視進行に伴い作り直しの都度レンズ代が必要となります)。
近視抑制に対する考え方とご相談の目安
近視抑制は「どれかひとつが適切」というものではなく、お子様の状態や生活環境によって適した方法が異なります。
当院では、それぞれの治療の特徴や注意点についてご説明したうえで、ご家庭の考え方も踏まえながら選択できるようサポートしています。
また、継続的な経過観察も重要であるため、定期的に状態を確認しながら調整を行っていきます。
学校検診で視力低下を指摘された場合や、急に見えにくくなったと感じる場合、眼鏡をかけ始めたばかりで今後の進行が気になる場合などは、一度状態を確認することが大切です。
気になる点がある場合は、お気軽にご相談ください。

