オルソケラトロジー

オルソケラトロジー

オルソケラトロジーとは、近視・近視性乱視のための、手術をしない視力矯正治療法です。夜寝る前に、オルソケラトロジーレンズという特殊なコンタクトレンズをつけることで、就寝中に角膜中心を平坦化させます。起床後にコンタクトを取り外しても、角膜の形状変化は維持されるため、日中の裸眼視力の向上が期待できます。
日本では2009年に厚生労働省に承認され、近視の方に使用されています。
近年は小児の近視抑制効果が注目されています。
他の矯正方法との比較は以下の通りです。

他の矯正方法との比較

長所 短所
眼鏡 ・手軽にかけたりはずしたりできる
・手入れが簡単である
・激しい運動には不向き
・レンズがくもったり、視野がせまくなったりする
コンタクトレンズ ・強い近視や乱視、遠視でも矯正できる
・容姿に影響を与えずに使える
・眼鏡に比べると手軽にはつけはずしできない
・ゴーグルなしで水泳には使えない
オルソケラトロジーレンズ ・日中は裸眼で過ごせる
・中止すれば2週間程度で元の角膜形状に戻る
・夜間に継続してレンズを装用しなければならない
・強度近視や乱視・遠視は矯正できない
レーシック ・常に裸眼で過ごせる
・ケアの手間や追加費用がかからない
・外科手術が必要で、元の角膜形状には戻せない
・18歳以上でないと手術を受けられない

※上記は一例です

オルソケラトロジーの仕組み

就寝時にレンズを装用して角膜の形を矯正

装用前:近視の状態

眼は入ってきた光を角膜と水晶体で屈折させ、網膜上で焦点を合わせることにより像として捉えます。近視の場合は、この焦点が網膜より手前で結ばれるために像がぼやけて見えます。

装用中

オルソケラトロジーレンズは複数のカーブからなる特殊なデザインとなっています。それによって角膜の形状を矯正することができます。就寝時に装用することにより、角膜前面の形状がやや平坦化されます。

装用後

平坦化された角膜前面は、レンズをはずしても一定の時間形状を保つことができるため、起きている間は十分な裸眼視力が維持されます。
※効果には個人差があります。

メリット

  • 日中裸眼で過ごすことができる
  • 治療を中止すれば元の状態に戻ります
  • 手術を必要としない
  • 小児では近視の進行を抑制する効果が期待できる

デメリット

  • 適切なレンズケアが毎日必要
  • 基本的に毎晩レンズを装用する必要がある
  • ハローやグレアを自覚することがある

治療に向いている方

  • 眼鏡やコンタクトレンズを装着せずに裸眼で生活をしたい方
  • 激しいスポーツやマリンスポーツなどを裸眼で楽しみたい方
  • レーシックなどの屈折矯正手術に抵抗のある方
  • 近視の進行を抑えたいお子さま

治療に不向きな方

  • 重度のドライアイがある方
  • 十分な睡眠時間(6時間以上)を確保することが難しい方
  • レーシックなどの屈折矯正手術を受けたことがある方
  • 定期的な通院が難しい方

当院ではSEED社レンズ、メニコン社レンズの2種類で対応をしています。

治療の流れ

まずは一度診察を受けていただいて、眼の状態の確認や治療スケジュールの調整などを行います。
その後の流れは各社以下のリンクをご参照ください。

備考

  • SEED社は本治療開始前にご自宅で1週間のトライアル(有料)ができます。メニコン社の場合はクリニックにて装用した感覚を体験していただき、装用可能であればすぐに本治療レンズ注文になります。
  • SEED社、メニコン社ともに1か月間以内であれば返金対応しますが、各社金額が異なりますのでご注意ください。
  • お選びいただいたメーカーのレンズが合わない場合、他社のレンズをお試しいただけますが、眼の形状等によりオルソケラトロジー治療の適応にならない場合があります。
  • オルソケラトロジーは自費診療となります。他の病気等の保険診療を同日に行うことはできません。別日での診察となります。健康保険や医療費助成制度は適応されません。
  • オルソケラトロジー治療は医療費控除の対象になります。ケア用品は医療費控除対象外です。
  • 詳しくは下記のページをご参照ください。
    オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除

Q&A

オルソケラトロジー治療はどんな人に使用することができますか?

日中、眼鏡やコンタクトレンズを装着したくない方にむいています。ただし、すべての方にお使いいただけるわけではありません。使用開始前に適応検査で眼の状態、近視の度合い、角膜の形などの検査を行い、使用の可否を判断します。また、就寝中に装用するタイプとなりますので1日の睡眠時間が6時間以上確保できる方を対象としています。

普通のコンタクトレンズやメガネは度のあるレンズを装用することによって視力を向上させますが、オルソケラトロジーでは角膜そのものの形状を矯正します。普通のコンタクトレンズは外せばもとの裸眼視力のままですが、オルソケラトロジーレンズは外しても角膜の形状が保持されるため、「裸眼視力をよくする」ことができます。
基本的な取り扱い方法は通常のハードコンタクトレンズと同様です。ただし、ケア用品はオルソケラトロジー専用のものになります。市販のコンタクト用ケア用品を使用するのは避けて下さい。導入時にお手入れ方法については細かくご説明しますので、ご安心ください。

矯正効果はどのくらい持続しますか?

個人差がありますが、装用初期は夕方に裸眼視力が低下することがあります。視力が安定するまで1週間程度はかかります。それまでは必要に応じて夕方に眼鏡装用をおすすめします。

副作用、リスクはありますか?

通常のハードコンタクト、ソフトコンタクトレンズと同様のリスクがあります。眼に直接レンズをいれるため、感染症を代表とする眼合併症がおこるリスクがあります。 合併症予防のため、毎日のレンズケアの徹底と、定期的な受診を必ずしてください。

オルソケラトロジーレンズの装用を途中でやめられますか?

レンズを使用していた期間や目の状態によって個人差はありますが、一般的には2週間から1ヶ月程度で角膜形状は治療を始める前の状態へ戻ります。

レーシックとの違いは何ですか?

最大の違いは、角膜を傷つけずに矯正する、という点です。オルソケラトロジーレンズの使用を中止すると、やがて角膜は元の状態に戻ります。

子供でも大丈夫?

オルソケラトロジーには小児期に治療を開始することで眼軸長の伸展抑制効果があることが証明されていますので、近視進行抑制の効果が期待できます。
また、成長とともに近視の度が変化した場合でもレンズの度やデザインを変えることで対応できるため手術療法に比べ安全かつ有効な方法といえます。
ただし、ガイドライン上は慎重処方となっています。合併症予防のため保護者が毎日しっかりと適切にコンタクトを管理する 必要があります。

オルソケラトロジーレンズに寿命はありますか?

一般的なハードコンタクトレンズと同等で2~3年程度です。レンズの傷がひどい場合や度数に変更があった場合はその都度買い替えが必要になります。