マイボーム腺機能不全

マイボーム腺機能不全について

マイボーム腺ってご存じですか?

  • 治療しているけどなかなか改善しないドライアイ
  • 眼の周りがゴロゴロする
  • 目ヤニが朝とくに多い

こういった症状でお悩みの方はいらっしゃいませんか?
こういった症状がある方はマイボーム腺の機能が悪いかもしれません。

マイボーム腺とは

マイボーム腺とは、眼瞼(まぶた)のまつ毛の生え際よりもやや内側にある、油分を分泌する器官のことで、上眼瞼に30~40個、下眼瞼に20~30個前後あるといわれています。
マイボーム腺は、油分を分泌することにより、涙が蒸発するのを防ぐ大切な働きをしていますが、そのマイボーム腺が詰まったり、炎症を起こして働きが悪くなったりした状態を、「マイボーム腺機能不全(MGD)」といいます。
多くが高齢者にみられますが、若い方でも眼瞼縁へのお化粧をきちんと落とさないと、マイボーム腺開口部が閉塞し、MGDになりやすくなります。
デモデックスという顔ダニが生息していることもあります。

症状

症状は多様な目の周りの不快感をおこします。具体的には眼が疲れやすい、ごろごろする、目やにがたまっている気がする、目の周りが痒い、ものもらいができやすい、などです。
また、マイボーム腺から分泌される油分は、涙が蒸発するのを防ぐ働きがあります。
そのため、マイボーム腺の機能が低下すると眼の保湿がうまくいかなくなり、ドライアイになります。
最近では、ドライアイの患者さんの80%以上にマイボーム腺機能不全があるとも言われています。

治療

治療はまぶたを温めて清潔に保つことが大切になります。

温庵法(まぶたを温める):
マイボーム腺の油を溶かし、まぶたの血流を改善します。目元用のカイロや電子レンジであたためて使いまわしができるものを推奨しています。
蒸しタオルを使用する場合は、濡らしてよく絞ってから電子レンジで500W、30秒程度温めます。
蒸しタオルの場合は、直接眼にあてると冷却熱で逆効果となることがありますので袋等にいれてあたためるようにしてください。

眼瞼清拭(まぶたを清潔に保つ):
アイコットンなどで眼の周りを清潔に保ちましょう。
まぶたに使用できる特殊なシャンプーなどで優しくマッサージすることにより、マイボーム腺の油の排出を促し、固まった油や角化物のつまりを除去します。
また、周囲の細菌量を減らす作用もあります。当院ではマイボシャンプーを使ったお手入れをお勧めしており、好評で売り切れてしまいそうになることがあります。

来院された際に特殊な医療器具(マイボーム腺圧迫セッシ)によるマイボーム腺内の古い油の圧出を行い、新しい油の産生を促します。
この処置は痛みを伴いますので状況をみて必要に応じて行います。

また、食生活も大切です。オメガ3脂肪酸を多く含む食品摂取(青魚系、えごま油、アマニ油、クルミなど)が良いといわれています。

これらの日常的なケアがとても大切です。1日2回朝晩行うことをおすすめしています。
歯磨きのように日常習慣にしてもらえると効果を早く実感できると思います。

マイボーム周囲に炎症が強い場合はこれらのケアに加え薬剤を使用した加療をしていきます。
主にアジスロマイシン点眼薬やミノサイクリンの内服、眼軟膏を使って治療をします。
これらの治療をしてもなかなか治らない時があります。そういった場合は比較的新しい治療のIPLレーザーという方法もあります。
まぶたのまわりを耳から頬にかけてレーザー照射することで、マイボーム腺を活性化し涙の油層を改善させます。レーザー後はマイボーム腺の圧迫処置を行います。

皮膚へのダメージを最小限に抑えるため、4回1クールでの治療をおすすめしていますが、自費診療になるため、相談して個々人の希望に応じた治療方針を計画します。

ドライアイへの効果はマイボーム腺や肌のコンディションによって個人差があります。
照射直後には発赤や軽いカサブタが形成される場合がありますが、シミやそばかす、肌のくすみ、ニキビ跡といったあらゆる肌の悩みも改善し美肌にもなる魅力的な付加価値のある治療です。
肌への負担、ダウンタイムがほとんどなく、施術直後からメイクをしていただけるため、気軽に受けていただけます。

マイボーム腺の治療は様々あります。しかし、いくら薬剤で改善させても日々のケアをしないとすぐに再燃します。
日々のケアがとても大切です。洗顔するのと同時に瞼のケアもしてみませんか。