糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは

糖尿病の合併症のひとつで、糖尿病が発症してから5年以内に14%、15~19年で57%の人が糖尿病網膜症になるといわれています。
糖尿病は小さい血管の血流障害を来す病気です。
網膜には、栄養を与えるための小血管が張り巡らされています。血糖が高い状態が長く続くと、この血管に負担がかかり、出血が出現します。また、血管から液体成分が染み出し、網膜にむくみが生じることがあります。
さらに進行してくると血液の流れが悪くなり血液不足の範囲が出現します。その網膜は酸素不足のため白く浮腫みます。また、酸素不足の眼内ではVEGFといわれる血管を伸ばすためのシグナルが多くだされています。そのシグナルに従って、新しい血管がつくられますが、新しい血管はもろく、破れて目の中に多量の出血を起こすことがあります。
異常な血管に依存して膜状の増殖組織が網膜を引っ張って網膜剥離を起こすこともあります。網膜が剥がれてしまうと網膜の機能が損なわれますので、最終的に、著しい視力低下や失明に至ることもあります。

治療法

糖尿病網膜症の悪化を防ぐための治療は、以下の通りです。

良好な血糖コントロールの維持

とにかく基礎疾患である糖尿病の血糖コントロールが重要です。単純糖尿病網膜症と呼ばれる、網膜症の初期段階では、良好な血糖コントロールを保つことにより所見、症状の改善が期待できます。しかし、ある程度網膜の血管網の構造が障害されてしまってからでは網膜症の改善が期待できない状態まで悪化してしまうことがあります。

網膜光凝固術(レーザー治療)

血管が詰まり、酸素不足となってしまった網膜に、レーザー光線を照射します。
血液が不足している網膜を焼却することで 眼の中のVEGF濃度を抑え、結果として新生血管の発生を予防します。また、すでに生えてしまった新生血管の増殖を防ぎます。
ある程度進行した網膜症がさらに進行を阻止することができます。

硝子体手術

網膜症が進行し、目の中に出血を生じた場合や、増殖膜による網膜剥離が起きた場合に行われる治療です。

視力を維持するために適切な時期に治療をすることが必要となります。
定期的な通院で適切なタイミングを逃さないようにしましょう。